関心・意欲・態度の評価方法について元教員の僕が考えたこと【クレーム対策】
観点別評価の中で評価するのが難しいのが「関心・意欲・態度」。
この記事では、元教員の僕が「関心・意欲・態度」に思うことをまとめました!
前提
評価が難しい
まずなにより、「関心・意欲・態度」の評価は難しい!!!
テストの点数やレポートの文章などに表れる単なる学力と違って、「関心・意欲・態度」は生徒のやる気・頭の中のこと・心の中のことなので顕在化されにくい。
確かに大事なのはわかるけど、こんなの評価項目に入れるなよ・・・ってツッコミを入れたくなった人は少なくないはず
印象で評価しがち
で、教員がやりがちなのが印象で評価するっていうやつ。
例えば学期中に学習内容について生徒から1回でも質問されたら、ただそれだけで「この生徒はこの教科に関心があるぅっっ!!!」って思いがち。特にその質問が核心的なものであればあるほど。
こういう生徒には「関心・意欲・態度」でAをつけてあげたくなっちゃう。
生徒からしたら楽な教員。学期中に1回でも質問しに行けばいいので(完全に見透かしている)。
逆に、授業中に1回でもウトウトしていることがあったら、それだけで「授業態度が悪いから、この生徒はこの教科に関心がない」って思いがち。
で、「関心・意欲・態度」でCをつけてしまう。たまたま前日眠れなかっただけかもしれないのに。
こういうのは本当によくない。でも教員は結構やりがちだと思う。
振り返りカードでの評価は手間がかかる
授業中の単なる印象で評価しないように、
授業の振り返りを文章で書かせて(振り返りカードみたいなのを作って)、それをチェックして評価する・・・っていう方法もあるけど(実際にやってみたことがあるけど)、
これはむっちゃ大変。管理するのもチェックするのも。
っていうかそもそも「どういう振り返りをしたら関心・意欲・態度がAなのか?」ってのがすごく曖昧。結局のところ印象で評価してるだけでは・・・?ってなりがち。
それに、賢い生徒に簡単にハックされてしまう恐れも。「こうやって書けば評価が高まるんだよね・・・」って。
僕も中学生・高校生の時に完全にハックしてたと思います。振り返りを書く枠内にビッチリ書いて、たまに疑問を書いたりしてアピール。「関心・意欲・態度」でB以下をとったことは1回もなかったです。良い生徒だと思われていたのか、あざとい生徒だと思われていたのか・・・w
結局のところどんな評価方法を採用しても生徒には必ずハックされるので、むしろハックされることを前提に方法を考えた方がいい!ってのが僕の考え(→後述)
ノートや宿題などの提出物で評価しがち
あとやりがちなのは、ノートや宿題などの提出物の提出率や丸付けまでちゃんとやっているか?などで評価するっていうやつ。
これもよくよく考えると謎。
教員の中には全く疑うことなく「提出物=関心意欲態度の表れ」みたいに思っている人も少なくないけど、
なんで「提出物をちゃんと出すこと」が「その教科の学習に主体的に取り組んでいること」とイコールなのか、納得できる説明を聞いたことがないです。
単に「そういうものだ」って感じで、慣例で評価しているだけなのでは・・・?っていう説
クレームの原因になる
最終的に、
- 印象評価
- 振り返りカードを使った印象評価
- 提出物の提出率
- 提出物の内容
を組み合わせて総合的にふわっと評価する・・・ってことになりがち。
で、通知表を渡して生徒が下校した後(←1年間の中で最も電話が鳴ってほしくないタイミングで)、職員室に電話の音が鳴り響き・・・
保護者から
「なんで関心・意欲・態度でうちの子がCなんですか?ちゃんと説明してください。」
っていうクレームが入る・・・なんてことも。
ひええーーー・・・
これが一番めんどくさい!!!!厄介!!!
しかも複合的・総合的にふわっと評価したにすぎないので、ちゃんと説明できず詰む・・・ってことになりがち。完全に自業自得。ちゃんと計画的に評価しないとこうなりがち。
正当に評価する方法はない
テストの点数やレポートの文章などに表れる単なる学力と違って、「関心・意欲・態度」は生徒のやる気・頭の中のこと・心の中のことなので顕在化されにくい。
結局のところ、ちゃんと正当に評価する方法なんてないんです。
そんなミラクルな評価方法があったら全国の学校で採用されている(=指針が出されている)はずだし、こんなに教員が頭を抱えることにはなっていないはず。
「関心・意欲・態度」の正当な評価・妥当な評価を、生徒全員分、ちゃんとやるのは無理!!!
ちゃんと評価しようと思ったら、生徒全員とそれなりの時間コミュニケーションをとる必要があると思います(口頭でも文章のやり取りでも)。
多忙な教員には実質的に無理です。
「関心・意欲・態度」の評価方針
以上のように考えた僕は、こんな感じの方針で「関心・意欲・態度」の評価をすることにしました↓
クレームが来ないようにする
最優先に考えたのは、生徒からも保護者からもクレームが来ないようにするということ。
ぜっっっっっっったいに文句を言われないようにしよう!文句を言われてもしっかり説明できるようにしよう!って決意しました。
評価規準を先に説明する
- 「関心・意欲・態度」の評価は難しい
- 印象や授業態度や提出物でふわっと評価したくない
ってことを生徒に正直に話した上で、年度の初め、もしくは学期の初めに評価規準を明確に示しました(「関心・意欲・態度」以外の観点も)。
具体的には↓
取り組みが学習につながるように設計する
授業の冒頭で毎回、前回の授業内容の復習テストを行うことにしました。
テストは、教科書の見開きをコピーして修正テープで空欄を5つ作り、その原本を印刷したもの。
※教科書をコピーして修正テープで5箇所隠し、人数分印刷すればいいだけなので、穴埋めテストの作成には10分もかからない
※答え合わせは、隣の席の人と交換して教科書を見ながらの相互採点です(→多少の不正は生じると思うけど、スルー。見つけたら指導)
で、この復習テストの点数を毎回Excelで集計。
※数字を入力するだけなので2〜3分でできる(授業中、生徒が何か活動をしている時にササっと入力)
成績評価の時期になったら、学期内の復習テストの合計点を出して、
- 8割以上の正答率→A
- 5割〜8割未満:B
- 5割未満:C
みたいな感じで「関心・意欲・態度」の評価を出すことにしました。
このように、数字で明確に評価。
「これで関心・意欲・態度を評価することができていると言えるの?」っていう疑念はもちろんありますが、、、どうせ正当に・妥当に評価することなんでできません。
後からクレームが来ないように、「こうやって評価するよ!」ってはっきり宣言した上で評価をつけるようにしました。
生徒にとっても、教科書をちゃんと読んで理解すれば「関心・意欲・態度」でA評価を取れるようになるので迷惑ではないはず(教科書の穴埋め問題が5問あるだけだし)。印象でふわっと評価するより潔いし健全だと思います。
それに、このような評価方法を採用して教科書の穴埋めテストを授業冒頭の約三分で毎回実施するというルーティンを作った結果、
多くの生徒は必死に教科書を読むようになりました。なかには授業開始数分前から(=休み時間中に)読む人も。
「関心・意欲・態度」の評価を上げるための取り組みが、生徒本人の学力の向上につながるし、教科書を読む習慣をつけることにもつながる・・・という設計。
こうすれば、いくら生徒にハックされても問題なしです!
ちゃんと説明した上で復習テストを行なっているので、成績に関して生徒や保護者からクレームが来たことは1回もないです
伝えたいこと
後からクレームが来ないように、明確に・計画的に!
どうやったら「関心・意欲・態度」を正当に・妥当に評価できるのか?については学者さん(大学教授)に研究してもらうことにして、
現場の教員はちゃんと説明責任を果たせるようにして、自分にできる範囲でクレーム対策をするべし。
つか「関心・意欲・態度」を評価項目に入れないでくれー、現場の教員に丸投げしないでくれーー・・・一番大事な要素だってのはわかってるけど、評価するのむずすぎるわーーー