
本記事は、裏Step(ソフトテニス競技者育成”裏”プログラム)のメルマガの記事です。

目次
「ボレーでラケットを振るな」は間違っている
//もちおのソフトテニスノート
//2020年11月2日(月) 第292号
——————————————-
『ボレーをする時に「振ってしまう」のと「スイングする」の違いがよく分かりません。』
という質問をいただきました。ご質問ありがとうございます。
この質問は、おそらく「ボレーでラケットを振ってしまうのはダメだけど、ある程度スイングすることは必要」という感覚がある(もしくは、そうアドバイスされた)ことを背景としたものだと思います。
今回は、この質問を通して考えたことをまとめます。
先に結論を言うと、「ボレーでラケットを振るな」は間違っていると思っています。
ボールをどういう状態にしたらいい?
まずそもそも論として、ソフトテニスというスポーツではボールをどういう状態にすることが求められるのか?を考えてみます。
すると、
- ボールがエネルギーを持つ
- ボールが相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)
ということが、ソフトテニスというスポーツにおけるボールの理想の状態だと言えますよね。(ストップボレーなど、ボールのエネルギーが0に近づいた状態が理想の場合もあるけど、これは例外)
ラケットを持ったプレイヤーはテニスコートの中で何らかの動作をするわけですが、これらの動作はすべて、ボールを上記の状態に近づけることを目的としているのです。
ところが、
人間はミスをする
ということを忘れてはいけません。
ボールがエネルギーを持って、相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)ことを目指して動作をしたとしても、人間が行う以上、何らかのミス(ズレ)が生じてしまうことになります。
ソフトテニスでは、ボールがネットにかかったりラインの外側でバウンドしたりしたら失点となってしまいますし、相手が簡単に取れるボールを打ってしまうと即失点に繋がる可能性があります。
なので、ミス(ズレ)が生じないようにしたい。
つまり、プレイヤーは、
①ボールがエネルギーを持つ
②ボールが相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)
ことを目指して動作をするけれど、その動作は
③ミス(ズレ)が生じないような動作
である必要がある…ということです。失敗の確率が低い動作の中で理想を追求するということ。
この大原則を踏まえたうえで、そもそも、
なぜワンバウンドしたボールならラケットを振っていいのか?
を考えてみます。
理由は(たぶん)、ワンバウンドしたボールに対しては、ラケットを振ってボールにエネルギーを与えようとしてもミスが出にくいし、エネルギーを与えようとすることが重要だから。
というのも、ワンバウンドしたボールは、
- バウンド時にエネルギーが失われる
- ネットから遠いところで返球することになる
からです。ワンバウンドしたボールならラケットを振っても大丈夫だし、ラケットを振っていかないといけないってことですね。
ただ、「失敗の確率が低い動作の中で理想を追求する」という視点で考えると、ワンバウンドしたボールだったとしてもラケットを振る必要はない(振らない方がいい)場合があることがわかります。
例えば、ワンバウンドしてもエネルギーがそこまで失われていないボールの場合。
大きくラケットを振ろうとするとミス(ズレ)が生じる可能性がありますし、ボールが持っているエネルギーをそのまま反発させてあげればいいので、ラケットを大きく振る必要はなく、ボレーのように押し出す感じの動作をすればOKなはずですよね。
この動画のように↓
【ソフトテニスの戦略】前衛のバックのしのぎ(前衛サーブ後衛レシーブの3本目)【2019年全日本社会人】
他にも、ネットから近いところで打つ場合が考えられます。
ネットから近いところで打つ場合で、そこまでボールにエネルギーを伝える必要がない場合は、ラケットを大きく振らなくてOKなはずです。
この動画のように↓
このように、ワンバウンドのボールの場合でも、ラケットを大きく振る必要がない(振らない方が良い)場面があります。
まとめると。。。
- 「①ボールがエネルギーを持つ」
- 「②ボールが相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)」
- 「③ミス(ズレ)が生じないような動作」
を目指す場合、例外もあるが、ワンバウンドしたボールに対しては基本的にはラケットを振った方が良い。
じゃあ、ノーバウンドのボールに対してはどうなのでしょうか?(やっと本題)
ノーバウンドのボールはラケットを振っちゃいけないのか?
ノーバウンドのボールは、
- バウンドしていないのでエネルギーが失われていない
- ネットに近いところで返球することになる
という特徴があります。
となると、
- 大きくラケットを振ろうとするとミス(ズレ)が生じる可能性がありますし、
- わざわざラケットを大きく振ってボールにエネルギーを与えようとする必要はありません(ボールのエネルギーをそのまま反発させればOKです)し、
- エネルギーを与えるよりも角度をつけた方が良さそう、
ということになります。
だから、ノーバウンドのボールに対しては「ラケットを大きく振る」という動作は望ましくない。
んが。
ノーバウンドのボールだったとしても、エネルギーがほとんどないボールだったり(浮き球とか)ネットから遠いところで返球したりする場合は、「ラケットを大きく振る」という動作は望ましくない…とは言えないですよね。
この動画のように↓
【ソフトテニス】ネットに迷いなく近づける後衛は強い(林田選手のノーバウンドストローク)
まとめると。。。
- 「①ボールがエネルギーを持つ」
- 「②ボールが相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)」
- 「③ミス(ズレ)が生じないような動作」
を目指す場合、例外もあるが、ノーバウンドのボールに対しては基本的にはラケットは大きく振らない方が良い。
んで。
冒頭の質問(『ボレーをする時に「振ってしまう」のと「スイングする」の違いがよく分かりません。』)に対する僕の答えですが、
必要以上にスイングした時に「ラケットを振るな」って言われる
のではないでしょうか。
- ボールがエネルギーを持つ
- ボールが相手に取られにくいコースに飛ぶ(角度がつく)
- ミス(ズレ)が生じないような動作
を追求した時に、必要以上にラケットを”スイング”してしまった場合、「ラケット振りすぎ」と評価される。
つまり、外見的な形で「振りすぎ」かどうかが決まるのではなく、あくまで、飛んできたボールとの関係の中で「振りすぎ」かどうかが決まるということです。
「ボレーでラケットを振るな」は間違っている、というのが僕の結論。「ボレーでもラケットを振る場合がある。でも必要以上には振るなよ!」です。
最後まで読んでくださってありがとうございました。じゃ、またね。
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