教材研究・授業準備のやり方(進め方)について、元社会科教員の僕の経験をブログ記事に残しておきます。元教員の一つの事例にすぎないので、参考までに。
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教材研究・授業準備をする時のスタンス

教材研究・授業準備は沼
教材研究・授業準備って明確な「終わり」がないんですよね。いくらでもやれてしまう。
やればやるほど楽しいんだけど、逆に、どこかでケリをつけないとシンドくなりがち。良くも悪くも、沼なんです。
高校の教員だったら、もしかしたら沼にはまってもいいのかもしれません。高校はあまり生徒指導に時間を割かなくても大丈夫なことが多いし(※学校によるけど)、教科の専門性が求められるので。
んが。
小学校・中学校の教員は教材研究・授業準備の沼にはまらないようにした方が良いと思います。小学校・中学校は毎日のように生徒指導が頻発するので、教材研究・授業準備の沼にはまってしまうと仕事が終わらない→睡眠時間が減ることになりがちだから。
もちろん「教員は教えるプロなんだから〜」っていうヤツ(キレイゴト)はわかっていますが、そんなこと言ってらんないくらい勤務時間内に授業のことを考える時間がないのが現場のリアルだし、そもそも小中レベルなら教科の専門性はそれほど求められないし。
ってことで、沼にはまらないようにする!…って意識することが大事だと思います。教材研究・授業準備をする時には。
100点を求めない
意識としては、100点満点の教材研究・授業準備をしよう!っていう感覚を捨てるべし!ってのが僕の考えです。
僕自身、教員になりたての頃は「深く・細かく教材研究をして、自分がいまできる最大限の授業をしよう!」って思っていたんですけど、時間的・精神的に追い込まれてかなりシンドくなった経験があります。
っていうか、余暇の時間や睡眠時間を削って頑張ったとしても、”全生徒”の学びが深まる「100点満点の教材研究・授業準備」なんかできないんですよね。んで結局、タイムリミットが来て、自分の中で「まだ不十分なんだよなあ…」っていう悔しい・申し訳ない感覚で授業をするという。精神衛生上、マジで良くないです。
しかも、頑張って教材研究・授業準備をして教員的に「これは完璧だああ!!!!」って思える授業をしたとしても、生徒の学びにつながるとは限りません。
例えばですけど、直前の授業が体育の水泳とか持久走だった場合はみんな疲れ果てて社会科の授業どころじゃなくなるわけです。これが学校の残酷な現実。まあもしかしたら「直前の授業は水泳だから、今日の授業はこうやってやろう」ってところまで考えるのが究極の授業準備なのかもしれないけど、そんなことやってたら時間がいくらあっても足りないと思います。それに実際は見学の生徒もいるわけだし、生徒によって疲れの度合いも違うし。
つまり何が言いたいかというと、
「100点満点の教材研究・授業準備をしよう!」って思うとシンドくなるだけだし、
そもそも「100点満点の教材研究・授業準備」は教員の自己満足にすぎなくて、それが生徒の学びにつながるかどうかは別の要因によって大きく左右されるんだから、
100点を求めるのはやめよう!
ということです。
70点を目指す
70点を目指そう!くらいの感覚で良いと思います。大体でOK。
授業をやった結果、生徒が「わかりにくいです」っていう意思表示をそれとなくしてきたら、その部分の教材研究を改めてやって、補強すればいいんです。
んで、次回以降の授業で訂正・バージョンアップする。学校の授業は週に何回もあって「やり直し」ができるんだから、その利点を活かさないのはもったいないです。”最終的に”生徒の学力が上がればいいわけですし。あと、教員がそういう姿勢(試行錯誤・アップグレードする姿勢)を見せることが、「学ぶとはどういうことなのか?」を生徒に伝えることにもつながると思います。
とはいえ、マジメな教員はつい完璧主義に陥りがち。授業も何もかも適当にやって、公務員としての安定した身分に安住しているダメな教員もいますが、この記事を読んでくださっている方は、頑張ろうと思っている教員のはず。そういう教員はわかってるのに沼にはまっちゃいがち。
そうならないようにするために、
教材研究・授業準備に時間制限を設ける
のが良いと思います。
例えば、「この授業はぜっっっっったいに2時間で作る!」って決めるとか。2時間たったら、どれだけ不十分な教材研究・授業準備だったとしても切り上げる。で、授業に突入する。
自分自身で「終わり」を決めて、沼にはまらないようにする。教員はそういう働き方をしないと、いつまでたっても帰れません。ムリしすぎて体を壊しちゃダメ。もうあなたは十分頑張ってるんだから、ムリしなくていいよ!って言いたい。

教材研究・授業準備の流れ

ここからは、教材研究・授業準備の具体的な流れについてです。僕はこんな感じでやっていました。
- 学習指導要領をチェックして、達成目標を確認する
- その目標を達成するために用意されている素材=教科書を見る
- 達成目標に応じた課題を作る(定期テスト、レポート等)
- 課題を達成するための単元構成を練る
- 各回の授業を考える
それぞれ説明します。
①学習指導要領をチェックして、達成目標を確認する
「この単元でできるようになってほしいこと」(=達成目標)を明確にします。
たいていの場合、学習指導要領にちゃんと書いてあるので、それをチェック。(チェックしていない教員、結構多い気がする)
②その目標を達成するために用意されている素材=教科書を見る
達成目標を確認したら、教科書をパラパラとめくりながら眺めます。
んで、
「ここわかりやすい!」
って部分を確認すると同時に、
「あー、ここわかりにくそうだな」
「字数の関係で省略してるなあ」
って感じで、生徒がつまずきそうな部分の見当をつける。
③達成目標に応じた課題を作る(定期テスト、レポート等)
学習指導要領に書かれている達成目標にマッチしていて、かつ教科書を使えば達成できるレベルの課題を作ります。
僕は単元末にレポート(授業時間内に一気に書かせる形式)を課すことが多かったので、定期テストだけでなくレポートも作っていました。
各回の授業を考える・作る前、というのがポイント。
④課題を達成するための単元構成を練る
その課題をクリアするために、授業は何回必要なのか?どの内容をどれくらいの時間かけてやるのか?などを考えます。
あくまで予定。実際に授業をやってみて、生徒の状況を見て調整することは多々ありました。
⑤各回の授業を考える
単元構成を練ったら、いよいよ各回の授業を考えます。
「単元末の課題(レポート等)をクリアするために必要なこと」を授業で扱う、という感じ。
各回の授業を具体的にどうやって作るのか?については、また別記事で説明します。
まとめ
- 教材研究・授業準備は沼
- 教材研究・授業準備は70点でOK
- 授業がうまくいかなかったら次回以降の授業で訂正・バージョンアップすればOK!
以上です!じゃ、またねー!
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<目次>
- はじめに
- 第1章 長時間労働の理由
- 第2章 生産性を意識する
- 第3章 教員の仕事との向き合い方
- 第4章 スケジュール管理・タスク管理
- 第5章 作業環境を整える
- 第6章 教室環境を整える
- 第7章 メンタルを整える
- おわりに
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