2020年8月14日にTwitterでトレンド入りした「#先生死ぬかも」のハッシュタグ。
たかまつななさんという方が「ハッシュタグをつけて21:00からツイートしましょう」と発案したのがきっかけらしいです。
#先生死ぬかも トレンド入り しました。発案しましたが、びっくりです。そのぐらい先生方が大変なんです。声をあげましょう。コロナで教育にあまり予算まわらず、私は悲しいです。。学校の先生方が疲弊しています。。 pic.twitter.com/1gxGD6N5r4
— たかまつなな/時事YouTuber (@nanatakamatsu) August 14, 2020
#先生死ぬかも トレンド入り しました。発案しましたが、びっくりです。そのぐらい先生方が大変なんです。声をあげましょう。コロナで教育にあまり予算まわらず、私は悲しいです。。学校の先生方が疲弊しています。。
で、「#先生死ぬかも」というタグをつけたツイートが大量に投稿されたわけですが、それらのツイートはほとんどが「私も死にそうです」という類のもの。(まだ見ていない人はぜひ見てください。なかなかすごいです。)
僕も元教員なので共感するツイートもありました。
が、一方で、どうしても違和感を抱いてしまったものも。
今回は、「#先生死ぬかも」を見て思ったことについてお話しします。
「#先生死ぬかも」を見て共感・同情
①残業が多い&休日出勤が多いのはわかる

残業時間・休日出勤に関するツイートがむちゃくちゃ多かったです。
たしかに毎日の残業は当たり前。会社員だと残業代ほしさで残業をしている人も多いと思うんだけど、教員は残業代が支給されないのが苦しいところ(厳密には支給されるけど、残業時間の長短によって変動しないので、割りに合わない)。

部活動をやっていると休日出勤も当たり前。
僕の場合は自分が好きで専門のソフトテニス部の顧問をしていたから全然苦にはならなかったんだけど、仮に女子バスケ部を見てくれとか言われていたら「休日は絶対やだ」って思っていたと思う。
残業が多い原因と対策については、別記事で解説しています。

②休憩時間が取れないのもわかる

「勤務開始から生徒下校まで休憩時間が取れない」という趣旨のツイートがあって、これはものすごく共感。
4月頭の職員会議で「教員の休憩時間はここです」みたいな資料を配られるんだけど、その通りに休憩時間を取れたことは一回もありませんでした。(たぶんどの学校も同じだと思う)
ちょっと早めに職場に戻ると「30分ちゃんと休んだ?ダメだよ〜ちゃんと30分休まなきゃ」って言われるくらい。
残業代も5分単位で発生。
それと比べると、教員の労働環境はたしかに悲惨。
③そんなにヤバイ管理職いるの?

ツイートをざっと見たところ、(多少の誇張はあるにせよ)管理職にヤバイ人が多そうな感じを受けました。
月の在校時間が200時間を超えていたとき、管理職に相談しました。
「過労死ラインの80時間を大幅に超えている。せめて部活だけでも担当を外して欲しい」
管理職の答えは
「みんなやっているよ?」
だった。誰も守ってくれない。自分で自分の身を守るしかないと思いました。#先生死ぬかも
— はんめん教師 (@hanmena) August 14, 2020
月の在校時間が200時間を超えていたとき、管理職に相談しました。
「過労死ラインの80時間を大幅に超えている。せめて部活だけでも担当を外して欲しい」
管理職の答えは
「みんなやっているよ?」
だった。誰も守ってくれない。自分で自分の身を守るしかないと思いました。
古い価値観の人が管理職をやっているパターンがあるのはわかっていたけど、僕の想像以上のヤバさなのかも。
僕が勤務していた自治体はかなりまともな方だった。
「#先生死ぬかも」を見て違和感
一方で、ツイートを見て違和感も抱きまくった。どちらかというと違和感の方が多かった。すんません。
①トイレは授業中に行けばよくない?

「トイレに行く時間もないんです」みたいなツイートがあったんだけど、これはよくわからなかった。
どうしても授業間の休み時間に行けなかったら(っていうかたいてい行けないんだけど)、授業中にササっと行けばいいのでは?と。
「教員が見ていない隙に何かが起きたら大変」ってのもわかります。でも、トイレに行っている間に本当に何かが起きてしまったら、それこそ管理職の人に「だったらいつトイレに行けばいいんですか!」って訴えればいいじゃない?と思うんです。(っていうか事件が起きる前に、普通に管理職の人に相談すればいいと思う)
②子供と同じことしてる?

最大の違和感はこれ。
「#先生死ぬかも」っていうハッシュタグをつけて「本当にひどいんですっ!!!」みたいなツイートをしている人ばっかりだった。
これって、友達とトラブルが起きた時に「○○ちゃんが意地悪するの!先生なんとかしてよ!」って言う子供と似ているなあ…と思ってしまった。
たしかに現状をアピールすることは大切だとは思うんだけど、教員って「ひどい」って言いながら自分はほとんど行動せず、同僚と愚痴ばっかり言っている人が多い…っていうのは知っていたから、「あー、またいつものやつか」って思わずにはいられなかった。すんません。
結局、「#先生死ぬかも」っていうハッシュタグをつけてツイートして、その後、当の本人はどんな行動をするの?(したの?)
③辞めよーよ!

っていうか、「死ぬかも」って思っているのに、なんで辞めないの?
僕は「死ぬかも」とまでは思わなかったけど、「このまま教員を続けたら完全に病むな」って確信したので、迷わず退職願を出しました。だって子供のために自分の人生を犠牲にするとかおかしいでしょ。生徒だってそんな教員に教わりたくないって。

それに、「ツライ」って思っている人が教員を辞めずに、職場に残って頑張っちゃうからこの問題は解決しないんじゃないの?とも思う。
迷わずみんなが辞めるようになったら、教員の待遇・労働環境を良くせざるを得ないでしょ。
ちなみに、この手の話題になると、必ずこういう感じの教員増員論が出てきます。
全ての学校を20人学級にはできないものだろうか。教室が足りない?学校が足りない?
統廃合ばかりで使っていないところもあるのでは?!
先生の負担が少しでも減るはず…#先生死ぬかも— sakura (@tanaka41687709) August 14, 2020
全ての学校を20人学級にはできないものだろうか。教室が足りない?学校が足りない?
統廃合ばかりで使っていないところもあるのでは?!
先生の負担が少しでも減るはず…
だけど、これは期待するだけ無駄。そんなお金はない。
少子化が進んでいるのに、教員(公務員)の正規採用を増やせるわけないでしょ!
人件費は誰が払うの?税金だよ。教員(公務員)はクビにできないんだよ。いま教員の正規採用の数を増やしたら、ずっとずっとずーっと高い人件費を税金から払い続けることが確定しちゃうわけ。自分が国の予算担当だったら、そんなことできる?
って言われちゃうわけです。
政府は教員の数を増やしてくれるわけはないので、期待するのはやめましょう。
④そんなに熱意を込める必要ないのでは?

そもそも、「#先生死ぬかも」って思ってしまうくらい、教育に熱意を込める必要あるのかな?とも思います。
こんなこと言うと元も子もないんだけど、教育活動をしたところで変わらない人間は変わらないし、勝手に成長する人間は勝手に成長します。
「学力が高いな」と思った生徒は3年後もやっぱり学力が高かったし、「勉強が苦手だな」って思った生徒は3年後もやっぱり勉強が苦手でした。
「優しいな」と思った生徒は3年後もやっぱり優しかったし、「性格悪いな」と思った生徒は3年後もやっぱり性格が悪かったです。
大人だってヤバイ人は結構いますよね。子供の時期にいくら介入したって、ヤバイ人は大抵、ヤバイ人のままです。(#過激)
もちろん良くも悪くも「変わったなあ」って思う生徒はいましたが、ごくごく少数でした。
結局、本人次第なんです。教員が「教育」したところで、人間はそんなに変わりません。
まあその本人の気持ちを育てるのが教育の醍醐味であることは間違いないんですけど、ほとんどの場合、その熱意は届かないわけだし、何十人もの生徒一人ひとりにその熱意を注ぐのは現実的に無理です。(マジで死にます)
ある教員が「公立学校は学習指導要領で規定されている最低水準の授業さえすればOKなんだよ。別にそれ以上のところはやらなくていい。」って言っていて、
当時は「いやいや!生徒の力をできる限り伸ばすべきでしょ!」って思っていてあまり共感できなかったんですけど、今となっては「その通りだったかもしれない」って思っています。
「死ぬかも」って思うくらい熱意を込める必要はないと思います。
人間は結局、自分の力で道を切り拓いていくんです。
⑤授業しなくてOKってなっても大丈夫?

最後。
現場の教員の多忙を解決しつつ教育水準を向上させる素敵な解決策が「動画授業を使って、教員は授業をせずにサポート役(伴走者)になる」というやつだと思うんです。そうすれば、教員が授業準備に割く時間を圧倒的に減らすことができるし、生徒は自分の学力に合わせて自分のペースで勉強することができます。
なんだけど。
「死ぬかも」「つらい」「授業準備をする時間がない」って言っている教員が、いざ
「今までのような授業はしなくて大丈夫です!これからは生徒の学習のサポート役になってください」
って言われた時、すんなり受け入れるのかなあ?っていう疑問があります。正直。
「教えるのが好きだから教員になったんだ」「『教える』という自分の仕事を奪わないでくれ!」って言わないですよね?
生徒の成長を実現する(手助けする)のが教員の仕事であって、「教える」のが仕事っていうわけじゃないと思うのですが。大丈夫なのかなあ。
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<目次>
- はじめに
- 第1章 長時間労働の理由
- 第2章 生産性を意識する
- 第3章 教員の仕事との向き合い方
- 第4章 スケジュール管理・タスク管理
- 第5章 作業環境を整える
- 第6章 教室環境を整える
- 第7章 メンタルを整える
- おわりに
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