角川の世界史の学習漫画を東大卒元教員がレビュー【読みごたえありすぎ】
2021年2月に発売された世界史の学習漫画
Amazonでポチって実際に読んでみました!
ってことで、元社会科教員という立場から誠実にレビューをします。買うか迷っている人の役に立てば幸いです!!
『角川まんがシリーズ 世界の歴史 全20巻』
値段 | 約21,900円(20巻セット+別巻1冊) 約21,000円(20巻セット) 約1,000円(1冊バラ売り) 約1,000円(Kindle版1冊バラ売り) |
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監修者 | 羽田正 |
出版社 | KADOKAWA |
出版年 | 2021年 |
人類の誕生〜現代までの内容が20冊にまとまっています。
一部カラーで、漢字にはふりがな(ルビ)が振ってあります。
小学生でも読もうと思えば読めます。
ソフトカバー。
1冊のサイズ感はこれくらい(ポケットティッシュと比較)。思ったより大きくなくて良い感じ。
↑別巻「まるわかり地域史」がついたセット(値段は約1,000円高いけど、せっかく買うなら別巻つきの方がいいと思う ※あとから買い足すこともできます)
感想・レビュー
この漫画を読んだ率直な感想は、
- 文字が多くて読みごたえがある(良くも悪くも)
- 「横のつながり」がよくわかる
- ナレーション多め
- 内容は中学生〜高校生レベル
- 大学受験の勉強用として十分使える
- 大人の学び直しにも使える
- 教科書や参考書とあわせて読むと良いかも
って感じです。
文字が多くて読みごたえがある(良くも悪くも)
実際に読んでみて真っ先に思ったのが
「結構、文字が多いなあ…漫画を読んでいるっていうより、『絵付きの文章』を読んでいるって感じだなあ」
ってこと。
「絵付きの文章」のことを漫画って呼ぶのかもしれないけど、あんまり漫画って感じがしなかった…ってのが正直な感想)
これはメリットでもありデメリットでもある!って感じで、
角川の世界史学習漫画は
他の出版社が出している世界史の学習漫画と比べると良い意味で濃密です。
この内容の濃さなら「この漫画を使って勉強しても大丈夫なの?」っていう不安を感じることはない!って感じ。
だから「内容がスカスカの漫画だったわ…」って後悔することはほぼないと思います。
一方で、世界史を全く勉強したことない人がいきなり読んだらシンドイのでは??って思えるくらいの情報量で、読み応え抜群すぎる!って感じです。
「横のつながり」がよくわかる
同時代の「横のつながり」が強く意識されている感じ。
いろんな国のことを同時に描いているので、良くも悪くも場面展開が多いですが、
世界史の教科書と一緒に読むとより理解が深まりそう。
世界史が苦手な人は場面展開の多さに面くらうかもしれません(まあ世界史って場面展開が多くなるものだから仕方ないんだけど)。
↑別巻「まるわかり地域史」がついたセット(値段は約1,000円高いけど、せっかく買うなら別巻つきの方がいいと思う ※あとから買い足すこともできます)
ナレーション多め
たぶんこの学習漫画は「世界の歴史っていう膨大な内容をなるべく省略せず20巻にギュッとまとめよう!」っていう方針で作られた漫画なんだと思います。
なので、良くも悪くも教科書っぽくて、ナレーションがとっても多いです。
登場人物の会話でストーリーが展開されている…っていうよりは、ナレーション中心に物語が進んでいきます。
これも良くも悪くも…って感じで、
登場人物の(言葉足らずになりがちな)会話ではなく、丁寧なナレーションで世界の歴史について解説してくれているので、
「わかりにくいなあ」とはならないと思います。
その反面、ナレーションに重きが置かれた結果(←たぶん情報量を増やすため)、
登場人物の表情・心情・発言の微妙なニュアンスについての描写がぶっちゃけイマイチで、人物の心情や行動の意図を理解するのがちょっと難しめです。
人間の決意や葛藤、迷いみたいなものが丁寧に描かれているわけではないので、漫画として面白いか?って聞かれると正直「うーん…」って思います。
内容は中学生〜高校生レベル
内容は中学生〜高校生レベルだと思いました。
歴史を全くやったことありません!っていう小学生・中学生が読むのはちょっとシンドイと思います。
集中力がない小学生・中学生がこの漫画を読むとすぐにリタイアしそうです。
もし保護者が「自分の子供が歴史に興味を持つようになってほしい!そのきっかけとして漫画を使いたい!別に世界史じゃなくてもいいんよ!!」って思うのであれば、まずは日本の歴史の漫画から入った方が良いと思います。
※集英社の日本の歴史の学習漫画はよくできています!
大学受験の勉強用として十分使える
内容が濃密なので、大学受験の勉強用として十分使える!と思います。
巻頭と巻末の資料や図解、解説ページがかなり便利そうです。
この登場人物の人物相関図が良い感じ。
↑別巻「まるわかり地域史」がついたセット(値段は約1,000円高いけど、せっかく買うなら別巻つきの方がいいと思う ※あとから買い足すこともできます)
大人の学び直しにも使える
子供のためだけに買うのはもったいない!大人こそ読むべき!って思ったりもしました。
近現代の内容が全20巻中11巻もあって、この漫画を読むことで現代の世界についての理解がより深まりそうです。現代のニュースがよりわかるかも。
↑この漫画の監修者の羽田正さん(東京大学名誉教授)さんは「近現代を語ることで今の世界がより理解できる」って語っています。
教科書や参考書とあわせて読むと良いかも
- 教科書・参考書を読む
- →漫画でイメージをふくらませる
- →また教科書・参考書を読む
- →漫画を読む
って感じで、教科書や参考書と一緒に読む!っていう使い方が良いんじゃないのかな?って思いました。
この学習漫画は「1回読んで終了!わかった!」とはならない漫画です。
世界史ってそもそもすぐ理解できるものじゃないからそんなの当たり前なんですけど、そういう世界史自体の特性に加えて、
この漫画はすごく濃厚な作りになっているからです。
教科書や参考書も使いながら何度も何度も読むべき漫画。この漫画をちゃんと読めば、世界史の力がつくことは間違いないと思います。
まとめ
- 文字が多くて読みごたえがある(良くも悪くも)
- ナレーション多め
- 「横のつながり」がよくわかる
- 内容は中学生〜高校生レベル
- 大学受験の勉強用として十分使える
- 大人の学び直しにも使える
- 教科書や参考書とあわせて読むと良いかも
「内容がスカスカの漫画だったわ…」って後悔することはほぼない、すばらしい漫画だと思います!
イマイチだなと思ったらメルカリで売却しちゃえばOKです。
↑別巻「まるわかり地域史」がついたセット(値段は約1,000円高いけど、せっかく買うなら別巻つきの方がいいと思う ※あとから買い足すこともできます)