【学研まんが 日本と世界の近現代の歴史 レビュー】これは「マンガ」ではない

学研の『日本と世界の近現代の歴史』(全6巻)を読んでみた。
結論から言うと、僕の評価は 星2つ(★★☆☆☆)。 期待していた「歴史マンガ」とはだいぶ違ったので、感じたことを忖度なしに書いておきたい。
マンガというより「絵付きの教科書」

登場人物のセリフで歴史のストーリーが描かれているというよりも、ナレーターによる歴史の解説に絵がついてマンガになっている、という感じ。 正直、「マンガ」というよりは「絵本」に近い。
歴史という膨大な情報を正確に説明しようとするあまり、テキスト優先になってしまっているんだよね。そこが残念。
いざ自分が歴史漫画を作る立場になったら、「この内容はちゃんと説明しなきゃいけない」って考えてテキスト優先になっちゃう気がするから気持ちはよくわかるけども。
「横のつながり」はうまく描けている

構成は、学習指導要領で新しく登場した「歴史総合」を意識して、「横のつながり」が重視された構成になっている。例えば、イギリスの産業革命について描かれていたかと思えば、急にフランス革命へ飛び、さらにはインドの植民地化、アメリカでの戦争、中国の反乱…って感じ。
世界史の勉強では「横のつながり」(=同時期に別の場所で何が起きていたか?)を理解することが大事だから、この構成は悪くない、というか結構いいと思う。このマンガをくりかえし読み、教科書もあわせて確認することで、世界史の実力はかなり伸びるはず。
けど、1話が長すぎてとにかく疲れる

ただ、「横のつながり」を丁寧に描こうとしたからか、1話が長すぎだなと思った。1つのテーマに情報がこれでもかってくらい詰め込まれていて、情報量が多く、読んでいて結構しんどい。
1話あたり約30ページ構成。週刊少年ジャンプの約20ページと比べると1.5倍のボリューム。しかもテーマが歴史で説明がモリモリだから、ジャンプの漫画1話分よりも2〜3倍くらいのカロリーを使うイメージ。

中学生や高校生がターゲットでしょ。もっと短く区切ってテンポよく読めるようにしてくれたらいいのに、って思った。それならスキマ時間にサクッと気晴らし感覚で読めるのに。
設定された「問い」の違和感
あと学研まんが『日本と世界の近現代の歴史』の売りは「問いを立てて、解き明かす」という手法。でもこの試みはイマイチうまくいっていない。
例えば欧米列強の植民地支配に関して、キャラクターが「どうしてどの国もこんなに必死になってんだろ。」っていう問いをボソッと口にしたシーン。

その問いに対して男の子が自分なりの考えを言った時、なぜか男の子の顔が少し幼児化し、なんとなく「浅い答えだな〜」感がする描かれ方をしている。
こういうオマエモットアタマツカエヨ感を出されることが嫌で(=「不正解」を言うのが嫌で)「自分の考え」を言いたくなくなるわけだから、こういう描き方は本当に良くない。

そして男の子がヨゴレ役をやらされた後すぐさま、賢そうな女の子がカシコそうな雰囲気で自分なりの考えを言う。この展開スピードが速すぎて、マンガ読者が「一緒に考えて読み進める」余白がない。

極めつけに、賢そうな女の子が賢い雰囲気で自分なりの考えを言ったあと、この漫画の案内人的なポジションの人が即座に「正解!」って判定する。

「問いを立てて考える」って、結局は「現在の定説(定期テスト的な正解)」を当てるだけのクイズなの?感。「問いを立てて考える」ことと「正解を当てるクイズ」って、根本的に違うものだと思う。
とは言っても、歴史学習において「自分の頭で考えたことだったらなんでもOKだよ」ってわけにはいかないってこともわかるので、本当に難しいところだとは思う。
だからせめて、「問いを立てて、読者も一緒に考えて読み進める」ってのを実現するために、考えるための材料・ヒントを提示した上で、ストーリー展開に余白を作ってほしかったなって思う。現在の歴史上の定説に、マンガ読者が自分でたどり着いてしまうような構成。もっと謎解きっぽくするって感じ。
単に歴史をマンガを使って説明するのではなく、「問いを立てて、読者も一緒に考えて読み進める」ようにしよう!っていう企画のアイディアはすごく良かったと思う。だからこそ、それがイマイチ成功していないのが惜しい。

ターゲットは「初心者」ではない

正直言って、このマンガでゼロから歴史を学ぶのはきついと思う。「学校の授業で一度習ったけど、よくわからなかったから補完したい」「昔勉強したけど忘れたから復習したい」っていう、すでにある程度の知識がある人向けの教材という印象。
「それは違うでしょ」っていう内容が書かれているわけではないし、読む価値のないダメな漫画ってわけでも決してない。けれど、誰もが絶対に買うべき超おすすめの漫画ってわけでもない。
過度な期待はせず、
- すでに頭に入っている知識を視覚的にイメージし直すために使う
- 共通テストとか2次試験の直前に、近現代史をザッと復習するために使う
くらいの感覚で利用するのがいいと思う。













