【レビュー】『幼児教育の経済学』:教育の本としては珍しく科学的で誠実
『幼児教育の経済学』という本を読みました。
幼少期(小学校へ入学する6歳よりも前)の教育の重要性について、いろんな角度からこれでもか!!ってくらい主張されていて、すごく面白かった本でした。
が、値段が約1,700円もするので、これから買おうかなって思っている人は「どんな本なのかな?値段高いなー。買ったのにクソ本だったら嫌だな」って迷うかも。
ってことで、『幼児教育の経済学』はどんな本なのか?について、書いておこうと思います。
『幼児教育の経済学』のレビュー
ちゃんとした本!
「幼児教育について興味があるんだったら、とりあえず読んでおくべき本。有名だし」ってのが結論。
この本を書いたのはヘックマンっていう教授。
どんなくしゃみをするのか気になる名前ですが、ヘックマンさんはなんと2000年のノーベル経済学賞受賞者。
さすがノーベル賞受賞者って感じの書きっぷりで、自分の主張(「幼児教育に力を入れるべし!!」)を裏付けるための根拠をこれでもかってくらい用意しています。
教育に関する本って、単なる印象論や著者の価値観だけに基づいて書かれがちですが、この本はそうじゃない。
過去の研究、過去の論文を根拠にして、”科学的に”書かれている、ものすごく誠実な本です。
っていう意味で、約1,700円出して読む価値のある本。少なくとも僕はそう思いました。
著者の誠実さが伝わる構成
この本のメインメッセージは「幼児教育に力を入れるべし!!」です。
もうちょっと詳しく言うと、こんな感じの主張。
人生で成功するかどうかは、認知的スキル(IQや学力)だけで決まるわけじゃないよ!
健康や根気強さや意欲や自信などの非認知的スキルも大事なんだよ!
認知的スキルも非認知的スキルも、幼少期に発達するよ!
その発達は、家庭環境によって左右されるよ!
幼少期教育を積極的にやるべきだよ!
その方が効果が高いし、低コストで済むんだから!
ただ、この主張をひたすら言っているわけじゃなく、
- ヘックマン教授の主張(「幼児教育に力を入れるべし!!」)
- ヘックマン教授の主張に対する他の専門家10人のコメント(賛否両論)
- そのコメントに対するヘックマン教授のリプライ
- 日本人の教授による総括とコメント
っていう構成で本が作られています。
これ、すごいですよね。主張に対する批判コメントまで載せています。
ヘックマン教授、すごい誠実だなあって思いました。さっすがノーベル賞受賞者。ヒジョーに感銘を受けました。
しかも、そのコメントに対するリプライまでしちゃう。知を追究するとはこういうことを言うんだよ!って感じです。
ちゃんと科学的に書かれているので、「細かいことはいいから、結論をはよ教えてくれ!!」っていうタイプの人にとってはもどかしい本に思えるかもしれません。
が、幼児教育についてちゃんと考えたい人は、「かなり理解を深めてくれる良い本だなー!」って感じると思います。おすすめ。
- 幼少期の教育の重要性について、根拠にもとづいていろんな角度からこれでもか!!ってくらい説明してくれる本
- 反論まで載せている誠実な本
- 幼児教育について興味があるんだったら、とりあえず読んでおくべき本