思春期
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思春期は友達と一緒にいる時の方が危険なことをする

望岡 慶(もちお)
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研究から、思春期の子供は一人でいるときよりも、友達と一緒にいるときのほうがリスクを取りやすくなることがわかっています。

例えば、自動車の運転シミュレーションを使って、参加者に信号や障害物がある仮想の道路を運転してもらうという有名な研究があります。

Figure 1
Chein et al.(2011)より

14〜18歳の思春期の子供、19〜22歳の青年、24〜29歳の大人に実験に参加してもらい、

  • 一人で運転する場合
  • 友達がそばで見ている場合

の2つの条件を比較したところ、思春期の子供は友達がいるときのほうがスピードを出しすぎたり、無理な運転をする回数が増えることがわかりました。

Figure 2
Chein et al.(2011)より

これは、友達の存在が「かっこよく見られたい」「勇敢にふるまいたい」といった心理を引き出し、より大胆な行動をとるきっかけになっていると考えられます。

また、この影響は単なる知り合いではなく「同じ性別で同じ年齢の人が見ている」と思い込んだ場合でも見られました。

実際に友達がそばにいるときだけでなく、「誰かに見られている」という意識そのものが思春期の行動に影響を与えることを示しています。

さらに、リスクを取った結果としてどんな悪い影響があるのかがはっきり示されている場合でも、思春期の子供はリスクを取る傾向が続くことがわかっています。

この研究では、実験の前に「危険な行動をすると大きな損失がある」というルールを詳しく説明し、リスクを回避するよう促しました。

Figure 1
Smith et al.(2014)より
Figure 2
Smith et al.(2014)より

それにもかかわらず、思春期の子供は同世代の人と一緒にいると、リスクのある選択をしやすいことが示されました。

Figure 3
Smith et al.(2014)より

このことから、「危険を理解していないからリスクを取る」のではなく、「危険を理解していても、周囲の影響でリスクを選ぶことがある」という点が重要であることがわかります。

このように、思春期の子供は友達や同世代の人がいると、判断や行動が影響を受け、よりリスクを取りやすくなることが研究によって示されています。

参考文献

Gardner, M., and Steinberg, L. (2005). Peer influence on risk taking, risk preference, and risky decision making in adolescence and adulthood: An experimental study. Developmental Psychology, 41, 625‒635.

Chein, J., Albert, D., O’Brien, L., Uckert, K., & Steinberg, L. (2011). Peers increase adolescent risk taking by enhancing activity in the brain’s reward circuitry. Developmental Science, 14, F1‒F10.

Weigard, A., Chein, J., Albert, D., Smith, A. R., & Steinberg, L. (2014). Effects of anonymous peer observation on adolescents’ preference for immediate rewards. Developmental Science, 17, 71‒78.

Smith, A. R., Chein, J., Steinberg, L. (2014). Peers increase adolescent risk taking even when the probabilities of negative outcomes are known. Developmental Psychology, 50, 1564‒1568.

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望岡 慶(もちお)
望岡 慶(もちお)
思春期ブロガー
関東で生まれる → 公立中学校 → 公立高校 → 1年間浪人 → 東大(教育学部) → 東大院(教育学研究科) → 修士課程修了(教育学) → 公立中学校の教員に → 退職 → ブログをがんばる → ?
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