説教は子供が落ち着いてからにするべき理由
思春期の子供との関わりの中で、感情的な衝突が避けられない場面は少なくありません。
親としては、「なぜそんなことをするの?」「どうしてわからないの?」と、つい感情的に叱りたくなることもあるでしょう。
しかし、思春期の子供は感情のコントロールが難しい時期にあるため、感情が高ぶった状態で説教をしても逆効果になってしまうことがあります。
では、なぜ思春期の子どもは感情のコントロールが難しいのでしょうか?
思春期の子供は感情の制御が効きにくい理由
研究から、思春期の子供は危険を認識する力や論理的に考える力を十分に持っていることが示されています。
また、思春期には不適切な行動を抑える力や、状況に応じて行動を切り替える力(認知制御能力)も発達していることがわかっています。
しかし、現実には思春期の子供は衝動的でリスクの高い行動をとりがちです。
たとえば、感情的になって親に反抗したり、深く考えずに友達の言動に流されたりすることがあります。
この矛盾の背景には、脳の発達バランスの不均衡があると考えられています。
合理的な判断や行動を司る前頭葉は加齢とともにゆっくりと直線的に発達
するのに対し、
欲求や報酬、情動を処理する辺縁系は第二次性徴に伴うホルモンの影響で思春期に急激に発達
します。

この結果、
- 幼児期のように両者が未熟な段階や
- 大人のように両者がバランスよく発達した段階とは異なり、
思春期では「合理的な判断や行動を司る前頭葉」と「欲求や報酬、情動を処理する辺縁系」の発達にズレが生じるのです。
それゆえ、感情が大きく揺れ動く場面では、思春期の子供は自らの認知や行動を十分に制御できなくなると考えられています。
つまり、
「冷静に考えればわかるはず」と思えるような場面でも、思春期の子供は感情に流され、親の言葉を受け入れられないことが多いのです。
では、そんな思春期の子供に対して、親はどのように接するべきでしょうか?
落ち着いて冷静になった時に話しましょう
一番大切なのは、子供が感情的になっているときにすぐに説教をしないことです。
子供が落ち着くまで辛抱強く待ちましょう。
怒っているとき、泣いているとき、興奮しているときに「話を聞きなさい!」と迫るよりも、少し時間をおいてから「さっきのことについて話そうか」と声をかけた方が、思春期の子供は自分自身を冷静に振り返ることができます。
また、親自身も冷静でいることが重要です。
親が感情的に怒ってしまうと、子供の感情はさらに大きく揺れ動き、伝えたいことが届かなくなります。
子供が落ち着き、親も落ち着いた状態で、「なぜその行動が問題なのか」「どうすればよかったのか」を一緒に考える時間を持つようにしましょう。
思春期の子供は、危険を認識する力や論理的に考える力、不適切な行動を抑える力、状況に応じて行動を切り替える力を十分に持っています。
冷静になって落ち着いて真剣に話をすれば、伝えたいことは必ず届きます。
ただ、「わかってはいるけど、つい・・・」が起こりやすいのも思春期の特徴です。
再びトラブルが起きた時に「この前言ったでしょ!わかったって言ったよね!?」と怒鳴りたくなる気持ちはよくわかりますが、そのような時でも親は辛抱して冷静に子供と接しましょう。
参考文献