(歴史)

【日本史36-2】江戸幕府の対外政策(鎖国)について東大卒の元社会科教員がわかりやすく解説

【日本の歴史36-2】江戸幕府の対外政策(鎖国)について東大卒の元社会科教員がわかりやすく解説こんにちは。もちおです。

本記事では、

江戸幕府の対外政策(「鎖国」)

について説明をします。

 

この記事の信頼性

僕(もちお)は、元社会科教員。

  • 日本史についてそれなりにくわしい。

僕(もちお)は、東大入試で日本史を選択。

  • 日本史についてそれなりにくわしい。

 

※わかりやすくするために、ちょっと崩した表現をすることがあります。

 

もちお
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江戸幕府の対外政策(「鎖国」)についてわかりやすく

江戸時代の「鎖国」について話をします。

江戸時代の対外政策についてまとめると、こんな感じ。

  1. 江戸幕府は、貿易をして利益をゲットしたかった【前回の記事】
  2. でも、キリスト教が厄介だった
  3. そこで、いわゆる「鎖国」と宗教政策を行った
  4. 誤解されがちだけど、「鎖国」は国を完全に閉ざしたわけではないよ

 

この記事では、②からくわしく説明します。

 

 

②でも、キリスト教が厄介だった

江戸幕府はものすごく積極的に貿易をしようとしました。

が、やっぱりキリスト教は江戸幕府にとって危険な存在でした。

 

キリスト教って、独特の世界観・価値観をもっているじゃないですか。(それが良いとか悪いとかは、別の話)

江戸幕府が全国を支配する上で、別の世界観・価値観をもっている集団って、やっぱり厄介な存在なんですよ。

実際にキリスト教は、幕府や藩などの権力よりもキリスト教の信仰を上位にするものでした。

ちなみに、日蓮宗不受布施派も幕府や藩などの権力よりも日蓮宗の信仰を上位にするものだったので、江戸幕府は日蓮宗不受布施派も敵視していました。

 

でも、江戸幕府は当初キリスト教の布教は黙認していました。宣教師がいるからこそ南蛮貿易をすることができていた、っていうのは紛れもない事実だったからです。

 

ここで大事なのが、江戸幕府が実現したい2つのことは、トレードオフの関係(何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係)だということ。

幕府がほしいもの 貿易の利益
幕府がなくしたいもの キリスト教

 

どこかで折り合いをつけなきゃいけないわけです。白か黒か、っていう選択はできない。

 

 

③そこで、いわゆる「鎖国」と宗教政策を行った

で、江戸幕府はいわゆる「鎖国」という政策を行なって対処しようとしました。

 

「鎖国」っていうのは、キリスト教の禁教を目的に、日本人の海外渡航と帰国を禁止して、外交・貿易を制限した政策のことです。

貿易の利益はゲットしつつ、キリスト教は排除するってことですね。

 

で、「鎖国」にいたるまでの過程が教科書とかにはグチャグチャと書かれているので混乱しがちですが、そんなに難しくないです。単純です。

外から入ってくるものを日本でゼロにしたいって思ったら、どうするか?を考えるとわかりやすいです。

  • (1)「それは禁止だよ」って言う
  • (2)入ってこないようにする
  • (3)すでに入ってきているものは排除する

っていう3つの作業が必要ですよね。こういう捉え方で、「鎖国」についてくわしく見ていきましょう。

 

 

(1)「それは禁止だよ」って言う

江戸幕府は、キリスト教を禁止しました。

1612年 幕領にキリスト教禁止令(禁教令)を出す
1613年 キリスト教禁止令を全国に広げる

 

「禁止だよ」って言えた背景には、朱印船貿易やオランダ・イギリスの貿易など、宣教師に頼らない貿易ルートをいくつか確保できるようになってきたという事情もあります。(じゃなきゃ「禁止だよ」とは言えない。だって、中国産の生糸が欲しいから。)

 

 

(2)入ってこないようにする

江戸幕府は、

  • キリスト教を布教する外国人が日本に入ってこないようにしつつ、
  • 日本人が海外に好き勝手行ってキリスト教に染まって帰ってくるのを防ごうとしました。

 

厄介だったのは、貿易と一緒にキリスト教の布教もするポルトガルとスペインだったので、彼らが来るのを禁止しました。

また、日本人の海外渡航と帰国も禁止しました。

こうすれば、キリスト教が入ってこないようにできます。

 

具体的な政策はこちら。

1616年 中国船以外の異国船の寄港地を長崎と平戸に制限
1624年 スペイン船の来航を禁止
1633年 奉書船以外の海外渡航を禁止

※1631年に、海外渡航する船は朱印状の他に老中発行の奉書(老中奉書)の所持を義務付けられた。

1635年 日本人の海外渡航と帰国を禁止
1637~38年 島原・天草一揆という大事件が起きる
1639年 ポルトガル船の来航を禁止
1641年 オランダ商館を平戸から長崎の出島に移転

 

この中の、1637〜38年に起きた島原・天草一揆は、江戸幕府にとってかなり重大な事件でした。これは、隠れてキリスト教を信仰していた人々の一揆です。

 

島原(長崎)と天草(熊本)は昔キリシタン大名が支配していた土地で、キリスト教が広まっていたんですけど、「キリスト教は禁止だよ」ってなって以降、みんな隠れてキリスト教を信仰していたわけです。

 

ところが、天候が良くなくて農作物があまり取れなかった中で、島原と天草のボスが厳しい政治を行ったタイミングで、「ふざけんなよーーーー」ってなって隠れてキリスト教を信仰していた人々が暴れ出したんです。(天草四郎時貞っていう人がリーダー)

江戸幕府は九州の大名を呼んで1638年にこの一揆を鎮めることができたんですが、これで「マジでキリスト教は危険だわ」って確信することになりました。

 

で、1639年にいよいよポルトガル船来航の禁止をすることになったんです。

残ったのはオランダ船と中国船だけでした。(イギリス船は禁止されたわけではなく、自主撤退した)

 

これでOKか?というと、そういうわけではありませんでした。

 

 

(3)すでに入ってきているものは排除する

島原・天草一揆がまさに示している通り、「禁止だよ」って言って、外から入ってこないようにするだけじゃダメなんですね。隠れてキリスト教を信仰している人がいるので。

だから、キリスト教を本当にゼロにしようと思ったら、隠れてキリスト教を信仰している人を見つけ出して、すでに入ってきているものを排除しなきゃいけないわけです。

 

そこで、江戸幕府は絵踏というエゲツない政策を行います。役人が監視している前で、キリストや聖母マリアが描かれている像を踏ませるという政策です。

 

好きだったり信仰したりしている人の像って、踏めないじゃないですか。例えば、NMB48の山本彩っていう人がいるんですけど、その人がむちゃくちゃ好きだったら、山本彩の生写真って踏めないですよね。単なる写真だったとしても。踏めないんですよ。僕は踏めません。

こんな感じで、「この絵(踏絵)を踏めない人はキリスト教徒だ!」ってことで、隠れてキリスト教を信仰している人を見つけようとしたわけです。

 

なかなかエゲツないことやりますよね、江戸幕府。

 

また、江戸幕府は寺請制度という政策も導入します。これは、すべての人に檀那寺を持たせて、キリシタンではないことを証明させる制度のこと。

 

檀那寺っていうのは、葬式などの葬祭を任せる寺院のことです。「あなたが所属する寺院はここです」ってのを、宗門改帳っていうノートに書いて、「キリスト教徒じゃないよね」ってことを証明するんです。

 

ちなみに、現代の日本では、葬式をする時ってお坊さんがやりますよね。っていうか、現代の日本人って、仏教と関わるのは葬式の時だけ(「葬式仏教」)、っていう人が多いと思います。こうなったきっかけが、この寺請制度だと言われています。

あと、夫のことを「旦那さん」って言ったりしますけど、その”旦那”の語源は、「布施をする人、面倒を見る人」を意味するサンスクリット語の「ダーナ」っていう言葉らしいです。檀那寺の檀那も同じ。

 

 

このように、江戸幕府は、

  • 絵踏で隠れてキリスト教を信仰している人を見つけようとしつつ
  • 寺請制度で民衆がキリスト教徒ではないことを証明させる

という形で、すでに入ってきているキリスト教を排除しようとしました

 

 

④誤解されがちだけど、「鎖国」は国を完全に閉ざしたわけではないよ

最後に、「鎖国」の誤解について説明します。

 

「鎖国」っていうのは、キリスト教の禁教を目的に、日本人の海外渡航と帰国を禁止して、外交・貿易を制限した政策のことです。

 

国を完全に閉ざしたわけではありません。国を完全に閉ざしたら貿易の利益をゲットできなくなるので、そんなことはしないんです。

 

国を完全に閉ざしていたわけではない、ってことがわかりやすい例を言うと、1853年にペリーが日本にやって来ますが、江戸幕府はペリーが来航することを事前に知ることができていました。江戸幕府は国を完全に閉ざしていたわけではないんです。

 

 

江戸幕府は、外国とつながる4つの窓口を持っていました。

長崎 幕府が直接管理。オランダ船・中国船が来航。
薩摩藩 薩摩藩の島津氏が琉球王国を支配。
対馬藩 対馬藩の宗氏が釜山の倭館で朝鮮と貿易。
松前藩 松前藩の松前氏が蝦夷地のアイヌと交易。

 

幕府が直接管理(直轄)したのは長崎だけで、それ以外の3つの窓口の管理は大名に任せることにしました。(大名には、外国と昔からの付き合いがあるので。彼らに任せた方がいい。)

 

(1)長崎

幕府が直接管理。オランダ船・中国船が来航。

 

オランダ人は出島に隔離されましたが、中国人は街中で住むことを認められました。

で、オランダ商館のトップは1年交替で着任して、そのたびに海外の情報を幕府に伝える義務を負いました。オランダ商館長が口で言った内容を、通訳が翻訳して、オランダ風説書っていう書物にまとめて幕府に提出するんです。

 

(2)薩摩藩

薩摩藩の島津氏が琉球王国を支配。

 

琉球王国

日本・中国・東南アジアの商品を転売する中継貿易で繁栄。

→1609年に薩摩の島津氏の攻撃を受けて日本に従うことに。ただ、江戸幕府は琉球王国を独立国ってことにして、引き続き中国の冊封も受けさせるという日中両属状態になった。

 

(3)対馬藩

対馬藩の宗氏が釜山の倭館で朝鮮と貿易。

 

朝鮮

秀吉の朝鮮出兵のせいで関係が悪くなっている。

→対馬の宗氏に交渉をしてもらって、関係が回復。朝鮮は将軍の代替わりごとに朝鮮通信使を日本に派遣。対馬藩が釜山の倭館で朝鮮と貿易。

 

(4)松前藩

松前藩の松前氏が蝦夷地のアイヌと交易。

 

蝦夷地(北海道)

アイヌ民族が暮らす。

→蝦夷地の南部に領地をもつ松前藩が、蝦夷地でアイヌと独占的に交易する権利を認められた。1669年にアイヌが反発しシャクシャインの戦いが起きたが、アイヌが破れ、アイヌは松前藩により従うようになった。

 

 

このように、「鎖国」と言っても、江戸幕府は国を完全に閉ざしたわけではありませんでした。

 

 

ゃ、またねー

 

動画でも解説

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