(歴史)

【日本史】統帥権干犯問題とは?東大卒元社会科教員がわかりやすく解説

【日本史】統帥権干犯問題とは?東大卒元社会科教員がわかりやすく解説

こんにちは。もちおです。

本記事では、

統帥権干犯問題

について説明をします。

 

この記事の信頼性

僕(もちお)は、元社会科教員。

  • 日本史についてそれなりにくわしい。

僕(もちお)は、東大入試で日本史を選択。

  • 日本史についてそれなりにくわしい。

 

※わかりやすくするために、ちょっと崩した表現をすることがあります。

 

もちお
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もちおです。TwitterYouTubeやっています! お問い合わせはこちら

 

 

統帥権干犯問題とは

超ざっくり言うと、1930年に起きた統帥権干犯問題は

本来、軍部が決めるものじゃないとされていた内容に対して「これは軍部が決めるものだ!」って言い出して大変なことになったよ、っていう問題

のことです。

 

将棋で例えるとわかりやすいと思うので、将棋で例えつつ「あー、そういう事件だったのね!」って納得できるように説明します。

 

 

軍部(陸軍・海軍)に関して決めなきゃいけないこと

まず前提の話で、軍部(陸軍・海軍)に関して決めなきゃいけないことについて確認します。

 

軍関係のことで決めなきゃいけないことはいろいろあるわけですが、その中でも重要なこととして

  • 軍の規模をどれくらいにするのか?(兵力量)
  • 軍の中で誰をどんな役職につけるか?(人事)
  • 実際に戦う時にどうやって戦うのか?(作戦・用兵)

があります。

 

将棋で言うなら、

  • 何枚の駒で戦うか?駒の種類はどうするか?
  • どうやって駒を動かすか?

です。これらが決まっていないと(これらを考えないと)戦いにならないわけです。

 

 

じゃあこれらを決めるのは誰なのでしょうか?

 

 

軍部(陸軍・海軍)に関することを決める組織

軍部に関することを決める組織は、

陸軍に関すること 陸軍省と参謀本部
海軍に関すること 海軍省と海軍軍令部

です。陸軍と海軍でそれぞれ、2つずつ組織があります。

 

もちお
もちお
参謀本部と海軍軍令部ってなんじゃい!って感じですが、この後すぐ説明するので大丈夫です!

 

 

軍令事項と軍政事項

それぞれの組織で、扱う内容(分野)が異なります。

 

まず内閣に属する陸軍省海軍省

  • 軍の規模をどれくらいにするのか?(兵力量)
  • 軍の中で誰をどんな役職につけるか?(人事)

を扱います。これら陸軍省・海軍省が扱う内容を、まとめて軍政事項と呼びます。

※ってことで、陸軍省と海軍省のことを軍政機関って言います。

 

一方、内閣に属していない参謀本部海軍軍令部は、

  • 実際に戦う時にどうやって戦うのか?(作戦・用兵)

を扱います。この参謀本部・海軍軍令部が扱う内容を、軍令事項と呼びます。

※ってことで、参謀本部と海軍軍令部のことを軍政機関って言います。

 

 

統帥権とは

んで、いよいよ本題に入っていきます。

 

統帥権干犯問題の「統帥権」ってのは、

実際に戦う時にどうやって戦うのか?(作戦・用兵)を決める権限

のことです。

 

将棋で例えるなら、僕たちが将棋を指す時は統帥権を行使しているわけです。

 

 

統帥権は天皇大権の一つで、参謀本部と海軍軍令部がサポート

で、超大事なこと。

大日本帝国憲法のもとでは、統帥権を持っているのは天皇です。統帥権は天皇大権の一つとされていました。

ただ、「天皇は国家機関のサポートを受けながら権限を行使する」ってことになっていて、「天皇大権の一つである統帥権の行使をサポートするのは参謀本部・海軍軍令部」ってことになっていました。

 

将棋で例えるなら、将棋盤の前に座っている天皇に対して、参謀本部・海軍軍令部が「序盤、中盤、終盤、隙のない作戦でいきましょう!」「駒たちを躍動させていきましょう!」ってアドバイスしてサポートするって感じです。

 

 

陸軍省・海軍省は「駒をどうやって動かすか?」に関しては関与できません。

 

 

でも、兵力量については参謀本部・海軍軍令部は関与できない

でも、さっき説明した通り、

  • 軍の規模をどれくらいにするのか?(兵力量)

については陸軍省・海軍省が扱うことになっていました。

 

つまり、海軍の話をすると、「日本はどれくらいの船艦を保有するか?」については海軍軍令部は関与できないわけです。

 

将棋で例えるなら、内閣に属する海軍省は「ちょっと駒が足りないので、しばらくの間、飛車は使わず、金と銀は1枚ずつで戦ってください」って言えるわけです。海軍軍令部は限られた駒の中で「どうやって戦うか?」を考えることになります。

 

 

ロンドン海軍軍縮会議で兵力量を決定

1930年、日本政府はロンドン海軍軍縮会議という国際会議に参加しました。

この会議では、「軍縮」という名がつけられている通り、「軍の規模を小さくしましょう!」っていう話し合いが行われました。

 

具体的には、海軍の船艦の削減です。

 

ロンドン海軍軍縮条約

  • 主力艦の建造禁止をさらに5年延長しましょう!
  • 日本は、補助艦をイギリス・アメリカの約7割までなら保有していいよ!

主力艦=海軍の主力の役割を務める戦闘艦。でっかい主砲を備える。

補助艦=巡洋艦・駆逐艦・潜水艦

巡洋艦(cruiser)=大洋を巡回できる航続性能を持つ戦闘艦。速度があり小回りが効く。

駆逐艦=(destroyer)=水雷(機雷・魚雷・爆雷など)を使う水雷艇を駆逐するための戦闘艦。

 

つまるところ、「海軍の規模を小さくしましょう!」ってことが決まったのです。これはまさに「兵力量」に関する内容です。

軍の兵力量は軍政事項で、内閣に属する海軍省が扱う内容でしたよね。

 

ところが…

 

政府に対して「統帥権の干犯だ!」と攻撃

「軍縮しやがって!」って不満に思った海軍軍令部や、「政府は頼りない!」って考えていた右翼、「これは政府を攻撃するチャンスだ!」って考えた野党(立憲政友会)は、政府に対して「統帥権の干犯だ!」と攻撃しました。

※干犯=干渉して他の権利をおかすこと。

 

兵力量の決定は内閣に属する海軍省が扱う内容なので、海軍軍令部がサポートする天皇の統帥権とは別物です。だから本来は何も問題ないのに、「兵力量の決定についても海軍軍令部の同意が必要だろバカヤロコンニャロー!」って攻撃したんです。

つまり、軍部が決めるものじゃないとされていた内容に対して「これは軍部が決めるものだ!」って言い出したってことです。

 

これが統帥権干犯問題です!

 

 

じゃ、またねー

 

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