タブレット学習に効果はある?東大卒元教員の感想【メリット・デメリット】
最近の通信教育はタブレット学習ばかり。
進研ゼミ、スマイルゼミ、Z会などなど、小学生・中学生向けの通信教育で「タブレットに配信された教材を使って学習するスタイル」が推されています。
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「タブレット学習ってホントのところ、どーなの?効果はあるの?」
このたび、進研ゼミを運営しているベネッセさんからタブレットをお借りすることができたので、実際にタブレット学習をやってみた感想をまとめようと思います。
タブレット学習の効果(メリット)
学習にスムーズに入れる
※進研ゼミのチャレンジパッドNeoの画像
子供の学力・学習状況に合わせた学習内容を表示してくれて、ボタンを押せばすぐに勉強をスタートできる
という点が、タブレット学習の最大のメリットだと思いました。
紙テキストだと
勉強するぞ!
→どの範囲の勉強をするかを考える
→教科書の該当ページを探す
→勉強スタート!
って感じで「勉強するぞ!」から「勉強スタート!」までのタイムラグが結構あるんですよね。
でも、チャレンジパッドNeoだとそのタイムラグがほぼありません。
勉強ってスタートできるかどうかが勝負なので、タブレットを使うことで勉強開始までのハードルがぐっと下がるのはかなり良さげだなと思いました。
テンポよく勉強できる
※進研ゼミのチャレンジパッドNeoの画像
ボタンをポチポチ押せば問題・解説が素早く表示されるので、テンポよく勉強できます。
サクサク進められるので、「勉強をやってる感」が出ます。良くも悪くも(※記事の後半でまた触れます)。
なので、勉強が苦手な子供でも「勉強をやってる感」を感じることができるはず。
動画で学習できる
※進研ゼミのチャレンジパッドNeoの画像
動画やアニメーションを使って視覚的に学習できるのも良いところ。
紙テキストだとどうしてもイメージしにくい内容でも、動画やアニメーションを使うことで理解しやすくなります。
また、自分でテキストの文章を読むのに比べて、動画学習は受身でいられます(良くも悪くも)。部活の後とかでちょっと疲れている時でも、動画を流すことで勉強しやすくなると思います。
あと、タブレットで見られる動画は短めに(30秒〜10分程度の長さで)作成されていることが多いので、何度も繰り返し見よう!って思えるんですよね。反復して学習する習慣がつきそう。
間違った問題を再挑戦しやすい
※進研ゼミのチャレンジパッドNeoの画像
タブレットは学習履歴をデータとして保存することができるので、過去に間違った問題だけを抜き取って学習することができます。
これは紙テキストにはない強み。間違った問題に再挑戦しやすいので、知識が定着しやすくなるはずです。
保護者が学習状況を確認できる
※進研ゼミの画像
タブレットは学習履歴をデータとして保存することができるので、保護者に学習履歴を報告することもできます。
子供からしたら迷惑な機能ですがw、保護者にとっては「ちゃんと勉強してるのかな…」っていう不安を解消してくれるありがたい機能です。
タブレット学習の注意点(デメリット)
ここまでまとめたように、”タブレットならでは”の良さはたくさんあります。
一方で、「タブレット学習で肝心の成績は伸びるの?」っていう疑問を抱くのも無理ないな…って思うこともありました。
ということで、ここからはタブレット学習の注意点(デメリット)についてです。
どんどん次に進みたくなる
「勉強をやってる感」は出るけど、「内容は頭に入ってない!」が起きる可能性があります。
というのも、子供が解説をじっくり読まないでどんどん次に進んでしまう恐れがあるから。
ボタンをポチポチ押せば問題・解説が素早く表示されて、テンポよく勉強できるのが、良くも悪くも・・・といった感じ。
実際にタブレットを使ってみて、ついつい「次へ」ボタンをすぐに押したくなる…ってことがわかりました。かなり充実した解説を表示してくれているのに、です。
もちろんタブレットは悪くありません。
人間が「次へ」ボタンの誘惑に負けてしまうんです。
解説をたいして読まずにすぐに「次へ」ボタンを押してしまうと、「勉強をやってる感」は出るけど、内容が咀嚼されて頭の中に入っていく感じがしない。
ここは要注意です。
なので、悪い意味でテンポよく勉強を進めてしまうことがないように、タブレットの横にノートを置いて、つどつど解説をメモするようにすると良いかもしれません。
ノートを作れば、学習の成果が形にも残りますしね。(→学校にも持って行ける)
全体像が見えにくい
タブレットだと、「いま自分は全体の中のこの部分の勉強をしているんだな」ってのがパッと見わかりにくいです。
というのも、タブレットが「今日はここをやりましょう!」って(良くも悪くも)学習内容を提示してくれるから。
学力を定着させるには、教科の全体像を把握して「いま自分はどの部分の勉強をしているのか?」を確認することが必要(だと思う)。
紙テキストだと、「あー、今はこの部分の勉強をしているのか」ってわかりやすいですよね。ページ数がわかるしページをめくれば前後の内容がわかるので。
でも、タブレットだとページ数はわからないしページをめくったりもできないので、「今、教科書のここをやってるんだな」ってのがわかりにくいです。
迷子にならないようにするために、タブレットがおすすめしてくれたレッスンだけをやるのではなく、
定期的に一覧表示ボタンを押して「あー、今はここをやってるのか!」って確認することをおすすめします。
おそらく学習内容を一覧表示できる機能があるはずなので(進研ゼミのタブレットにはあった)。
総評
タブレット学習は、
- 勉強を「やってる感」だけ出て、あまり頭に入らない可能性がある
- 勉強の全体像が見えにくい
という注意点・デメリットがありますが、だとしても「やっぱりタブレット学習って結構いいんじゃない!?」ってのが僕の総評です。
というのも、タブレットを使うことで
- 学習にスムーズに入れる
- テンポよく勉強できる
という明確なメリットをが得られるから。
特に「学習にスムーズに入れる」ってのが大きいです。
勉強するうえで一番の問題は、「何を勉強するか考えて、テキストを開いて…っていうハードルを乗り越えられずに勉強をまっっっっったくしない」ってやつですよね。
勉強量0が一番マズイ。そうならないために、勉強のスタートが一番肝心なんです。
タブレットは勉強のスタートまでのハードルを低くしてくれるわけです。
確かに「勉強をやってる感」だけ出てあまり頭に入らない…っていう可能性もゼロではありません。
でも、もしそうなってしまったとしても勉強をまったくやらないよりは何百倍もマシだと思います。
特に勉強が苦手な子供にとっては、「勉強をスタートした!」「勉強をたくさんやった!」っていう感覚を持たせることが大事ですよね。
タブレットはその感覚を子供に持たせるサポートをしてくれる道具なんです。
成績をものすごく上げたいなら紙でもタブレットでも同じ
もし成績をものすごーーーく上げたい!って思うのであれば、もはやタブレットでも紙テキストでも関係ないはず。
文章をじっくり読んで、内容をちゃんと咀嚼して、しっかりと理解することが成績を上げる上で最重要なので。
つまり、成績をものすごーーーく上げたい!と思っているのであれば、大事なのは「何を使うか?」ではなく、「どうやるか?」です。