【やさしい教育心理学 レビュー】物足りないけど一冊目としてはおすすめ
今回は『やさしい教育心理学』という書籍を紹介します。
結論からお伝えすると、「教育心理学がカバーするテーマの全体像をざっくりと把握するスタート地点としては非常に良いが、最新の知見を知りたい人にとっては物足りなさが残る」という印象でした。
本書の位置付け
本書は、教育心理学を初めて学ぶ人や教養として触れたい人向けの基本書・入門書という位置づけです。

良かった点:全体像をつかめる
本書の最大の魅力は、教育心理学で扱われる主要なテーマの全体像を一通り網羅できる点にあります。
具体的には、以下のような主要トピックが解説されています。
- 記憶と忘却に関する研究
- 報酬・動機づけに関する研究
- 知識やメタ認知に関する研究
- 発達に関する研究(年齢によって人間がどう発達していくか)
- 学校教育に関する話
「学びについて知ろうとするとき、どういう切り口で見ていけばいいのか」という地図が手に入るため、一番最初に読む本としては非常に役に立ちました。

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物足りなかった点:「今」がわからない
一方で、物足りなさを感じた部分もあります。
本書で紹介されているのは、教育心理学の源流とも言える古典的な研究が中心です。そのため、「昔どのような研究が行われてきたか」という歴史的流れは分かります。
が、知りたいのは「今、どこまでわかっているか」です。
- どうすれば記憶力が良くなるのか
- どうやったらやる気が生まれるのか
- 「知識」とはそもそも何なのか
こうした問いについて、最新の研究がどこまで進んでいるのか、昔の研究の何が今も支持されていて何が否定されているのか。ここが知りたかったのですが、この本を読んでも「今」の状況はわかりませんでした。

また、参考文献の情報も少し古いため、「この本を読んだ後、次にどの書籍や論文へ進めばよいのか」という次の一手が見えにくい点も惜しいと感じました。スタート地点に立つことはできても、そこからの進路は自分で探す必要があります。
何度か改訂はされているようですが、部分的な加筆にとどまっているようで、本文全体の思い切ったアップデートはできていないようです。

まとめ
これから教育心理学や「学び」について勉強したい人、「どうやって勉強すればいいか」を理解したい人にとっては、最初のとっかかりとして読む価値はあると思います。
まずは本書で教育心理学の全体像や基礎的な枠組みを頭に入れ、その上で「今どこまで分かっているのか」を解説している別の専門書や最新本へとステップアップしていく使い方がおすすめです。
このマガジンでも、「この本の次に何を読むべきか」を追いかけていきたいと思います。
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