今回は『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』という日本史の参考書のレビューをします!
このブログでは、読者の皆様が自分に合う教材を見つけられるように、教材の特徴を中立の目線で紹介します!!
『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』はどんな本?
「日本史に野島あり」と言われた予備校講師の野島博之さんの著書です。
通史を2冊に分けて解説しています。
- (上)原始~江戸時代末
- (下)開国~現代
対象レベル
中級者~上級者レベルです。
深い理解に導く解説をしてくれる本
単なる表面的な解説ではなくて、深い理解に落とし込むために一歩踏み込んだ解説をしてくれる参考書です。
「教科書に書いてあることは『つまりこういうことだよ!』」って説明してくれる感じ。なので暗記がしやすくなります。
例えば、『中学から使える 詳説日本史ガイドブック(下)』の「教育の充実」(p.65)の部分では、
- 政策について説明するだけでなく、
- それらの政策は、まとめると「つまりこういうことだよ!」という説明もしてくれています。
明治初期
明治時代初期には、教育制度をめぐる試行錯誤がつづいた。まず、1872年に学制が公布された…(後略)
1880年代以降
1880年代になると国家主義的な理念にもとづく教育システムが確立へと向かい、(中略)。具体的には、1886年に公布された学校令…(後略)によって教育体系が確立し、1890年に発布された教育勅語(教育に関する勅語)によって忠君愛国を柱とする国家主義的な教育理念が確立した。
教科書だと、
- 学制
- 学校令
の説明はしてくれるんですけど、
- 学制が、教育制度をめぐる試行錯誤の中の一つだった
- 学校令と教育勅語は、国家主義的な理念にもとづく教育システムの確立に向けた政策の一つだった
ということまでは書いてくれていません。
バラバラな知識を、ひとつにくくってまとめてくれる感じ。
歴史の勉強って一つ一つの事件や政策の意味づけをするのが大事なんですけど、その意味づけをこの『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』はところどころでしてくれています。
※暗記が苦手な人は、一つ一つの事件や政策が頭の中でバラバラになっていることが多い。暗記をするためには、バラバラな知識をつなげる!何種類かのカギをキーホルダーで一つにまとめておくと、カギがあっちこっち行かずに紛失しにくいのと似ています。
教科書を読むだけだとバラバラに見えがちな内容を、この参考書はつなげて解説してくれます。
※そういう解説はところどころにしかなくて、半分以上は教科書の内容を整理しただけの文章だけど(デメリット)
一歩踏み込んだ「つまりこういうことだよ!」という解説を読むためだけに買っても損はしない本だと思います。日本史を本質から深く理解したい人や、授業の教材研究をしっかりとしたい教員におすすめ。
東大受験対策にも使える本
野島博之さんは東大受験指導のプロ。実はこの本は、野島博之さんが東大受験生向けに行っていた講義のテキストを書籍化したものです。
東大受験では、「つまりこういうことだよ!」というのを自分で思考できるようになることが必要ですので、「つまりこういうことだよ!」という説明がところどころにあるこの本をしっかりと読み解くことで、必要な日本史の知識や考え方が身につきます。
参考:僕が東大合格のために使った日本史の参考書・問題集【地理歴史】
注意点
ガチガチにお堅い文章ってわけではないですが、やわらかい語り口で面白おかしく書いてあるわけでもありません。
なので、読んでて「クスッ」と笑ってしまうようなエンターテイメント性を求めている人には向かない本です。
また、歴史を全く理解していない初心者が最初に手にとる本ではないと思います。
よく読み込むことで威力が発揮されるタイプの参考書なので、参考書を読み込むのが苦手な人は違う本から入った方が良いかもしれません。
参考:高校日本史Bの参考書・問題集を東大卒元教員が紹介【大学受験にもおすすめ】
あと「中学から使える」って書いてありますが、普通の中学生には少し難しいかなと思います。歴史がものすごく得意な中学生なら使って大丈夫だと思いますが。
初心者が「まず大きく流れをつかみたい!」って思う場合は、学習漫画を使うのがおすすめです。
参考:中学社会の参考書・問題集を東大卒の元教員が紹介【おすすめ:高校受験】
口コミ・評判
かなり評判の良い参考書です。
日本史論述向けの参考書は、野島博之『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』(山川)、塚原哲也・鈴木和裕・高橋哲『日本史の論点 論述力を鍛えるトピック60』(駿台文庫・4月15日頃刊行)、安藤達朗『日本史講義 時代の特徴と展開』(駿台文庫)あたりだね。 https://t.co/WhHS72lEb4
— 塚原哲也 (@tsukatetsu) April 1, 2018
日本史論述向けの参考書は、野島博之『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』(山川)、塚原哲也・鈴木和裕・高橋哲『日本史の論点 論述力を鍛えるトピック60』(駿台文庫・4月15日頃刊行)、安藤達朗『日本史講義 時代の特徴と展開』(駿台文庫)あたりだね。
https://twitter.com/Common_Multiple/status/938771508393996288
僕は昨年の今頃東大日本史を受けはじめたけど、個人的には野島先生の詳説日本史ガイドブックみたいな通史の参考書を詰めてからやればよかったなって今は思ってる。僕は金谷の通史を受けるのが嫌だったから、東進の担任に東大日本史で通史をやるっていう奇妙な選択肢を出されて飛びついてしまった()
イキナリ日本史の教科書読み込みは難しい!僕もそうでした。
そんな時は『中学から使える詳説日本史ガイドブック』を代用してみて。情報量は十分だと思うし、流れにフォーカスが当たっててわかりやすい。これやるなら教科書捨てても良いんだぜ。— ナット (@natonatonatts) July 20, 2017
イキナリ日本史の教科書読み込みは難しい!僕もそうでした。
そんな時は『中学から使える詳説日本史ガイドブック』を代用してみて。情報量は十分だと思うし、流れにフォーカスが当たっててわかりやすい。これやるなら教科書捨てても良いんだぜ。
日本史選択の1,2年生は買うべきだと思う 特に塾に行っていない人はね
中学から使える 詳説日本史ガイドブック 上 山川出版社 https://t.co/vqxW1PvFkb @amazonJPさんから— ☆ (@1704312) November 29, 2016
日本史選択の1,2年生は買うべきだと思う 特に塾に行っていない人はね
中学から使える 詳説日本史ガイドブック 上 山川出版社
『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』のおすすめの使い方
教科書と読み比べながら使う
高校生(受験生)は、高校の日本史の教科書と読み比べながら使うと良いと思います。
教科書は山川出版社の『詳説 日本史』が定番。
もし中学生が使う場合は、中学校の教科書よりも『詳説 日本史』と一緒に読むのが良いので、『詳説 日本史』も合わせて購入した方が効果が高いです。
辞書的に使う
本の最初から最後まで一気に読み通すというよりは、日本史の勉強をして分からない部分があった時に辞書的に使うのもおすすめです。
索引(さくいん)もついています。
いろんな学習教材についてはこちら
日本史Bの参考書・問題集
高校日本史Bの参考書・問題集を東大卒元教員が紹介【大学受験にもおすすめ】
中学社会の参考書・問題集
中学社会の参考書・問題集を東大卒の元教員が紹介【おすすめ:高校受験】
学習漫画
歴史の勉強法
社会科の本質を解説するブログ・YouTubeはこちら
社会科(歴史・地理・公民)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。
【方針】
- 「つまりどういうことなの?」「なんでこれが大事なの?」ってのを解説する(木で例えると、葉っぱの部分じゃなくて幹の部分を説明する感じ)
- 細かい内容は省略する
- 社会科は人間の営みに関する学問なので、当事者のことをちゃんとイメージする(人間の心理も考える)
- 「社会は暗記すればOK!わからなくても覚えりゃいい!」っていう人を減らす
【対象】
- 中学生〜大人(本質的な部分を解説しているので、中学社会にも高校社会にも対応しているはず!)
※細かい内容はあまり扱わないので、細かくてマニアックな内容を求めている人は満足できないと思います。マニアックさを求めている人は、別のチャンネルを観るのがおすすめです。
通信教育を比較
おすすめな通信教育についてまとめました(各通信教育の比較)。
進研ゼミ
- 全教科の対策をしたい!
- でも部活や習い事で忙しい!
- 自分で学習計画・学習内容を考えるのは苦手…
っていう人に向いているのが進研ゼミ。値段も比較的安めです。 くわしくは下の個別記事で。
家庭教師を探す
社会科チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=vLW26933wWI 社会科(歴史・地理・公民・政治経済)の内容について、本質的な部分をわかりやすく解説するチャンネルです。
- 「つまりどういうことなの?」「なんでこれが大事なの?」ってのを解説する(木で例えると、葉っぱの部分じゃなくて幹の部分を説明する感じ)
- 細かい内容は省略する
- 社会科は人間の営みに関する学問なので、当事者のことをちゃんとイメージする(人間の心理も考える)
- 「社会は暗記すればOK!わからなくても覚えりゃいい!」っていう人を減らす
- 中学生〜大人(本質的な部分を解説しているので、中学社会にも高校社会にも対応しているはず!)